Again

「もうー、お久しぶり！　桃香」





久しぶりの再会を喜び、ハグをする。





「綾も、ちゃんと主婦しているの？」

「もちろん」





贔屓にしていた自然食レストランで再会した桃香と綾は、久しぶりの再会に話しを弾ませていた。個室があって落ち着いて食事をすることが出来ると、モデルの中では評判の店だ。



食事も済んで、食後のコーヒーを飲んでいた時だ。何処か後味が悪く気になっていたことを切り出した。





「……仁、結婚したでしょ？　パリであったのよ、幸せにしているのかしら？」

「仁にパリで会ったの？」





綾は初めて聞くことに、桃香に聞き返す。





「ええ……偶然ね」

「そうなの……仁は離婚したわ。とっても素直で可愛らしいお嫁さんだったのに」

「え！？」





声のトーンを押えて上品に話していた桃香だが、予想外の展開に声が大きくなる。





「そんなに驚く事？」





何も知らない綾が驚く。





「り、理由は？」

「さあ、詳しくは知らないの。両親も、もう大人だから放っておけと言うし。そもそも、急にお見合いを仁が自ら設定して、半ば強引に結婚したのに、あっという間に離婚でしょ？　私も訳が分からなくて。仁には、葵ちゃんみたいに擦れてない子を傷つけて泣かせたら最後だと、肝に命じるように言っておいたのに、この様よ」





桃香は言葉が出なかった。コップの水を飲み干し、おかわりをお願いした。





「ど、どうしよう……」

「なに？　何であなたが動揺しているの？」

「私、私が……」

「何？　何か知っているのね、話して」





桃香のちょっとした嫉妬が、こんな大変な事を起こしてしまっていた。桃香は綾に全て話すと、綾はバシッと頬を叩いた。





「自分が何をしたのか分かっているの？　仁が葵ちゃんと結婚したのは、葵ちゃんが好きだったという純粋な気持ちだったと思うわ。でも、葵ちゃんは関係ないでしょう！！　楽しみにしていたパリの旅行も台無しにして……私に嬉しそうにメールをしてきて、お土産は何がいいか、どんな所がおススメかって……私だって、そんな場面に遭遇したらショックで立ち直れないわよ！　それを輪に掛けて、結婚はカモフラージュですって？　人の人生を大きく左右してしまったのよ？　あなたの人間性を疑うわ。仁に未練でもあったの？　もう、連絡をしないで頂戴。友達の縁を切らせて頂くわ」





一気にたたみかけ、綾は出て行った。

残された桃香は、そっとおしぼりを頬にあてた。