Again
「もう、笑い事じゃないの。仁さんをネットで調べて、ついでに……その……奥さんも」
「そんなことか。俺はまだしも、葵の情報は全て非公開だ。ちゃんとそこは手を回してある」
「そ、そうなの?」
「ああ」
一瞬安心したが、でも信用は出来ない。
「それに、いつこの部屋に来ているのがバレるか、心配で」
「だから一緒に東京に帰ろうって言っているだろう?」
ソファに座った葵の前に、膝をついて葵の両手を取る。
「仁さんの事を責めちゃうわ」
「いいよ、ずっと責めてくれて」
「逆に私が仕返しをするかも」
「し、仕返し?」
「仁さんがしたように、同じことを」
「それはあり得ないし、葵はそんなことはしない。仮にそうなったとしても、俺は葵を離さない」
否定の言葉が嬉しい。葵は、少し揶揄ったのよと笑う。
部屋を見ると、書類が広がっていて仕事をしていたと分かる。
「無理してこなくていいのに」
「無理じゃないよ」
仁は広げた書類を整理する。
「副社長の仕事は、私には全く分からないけれど、物凄く忙しいのね」
「どうした? 急に」
「結婚していた頃、私が起きているときに帰って来なかったから……だから忙しいんだなって」
葵はふと結婚生活を思い出し、仁に問いかけた。
「いや……それは少し違うな。葵が起きている時間に帰ると、緊張させてしまうし、それに」
「それに?」
「抱きしめたくなる」
その一言は葵にとって嬉しいものだった。そう言われて葵ははにかんだ。
「実を言うと、そりゃ忙しい。仕事は山積みだ。だけど、そう毎日遅くなることはない。会社で潤を付き合わせ、しなくてもいい仕事を処理して……潤が呆れて先に帰っていたよ」
「そうなのね。私もそういう雰囲気にしてしまったのがいけなかったんですね。家に足が向かないようにしてしまった……ごめんなさい」
「葵が悪いわけじゃない。俺がいけないんだから」
「でも、毎日デザートのお土産があったわ」
「何か買ってあげたかったんだが、甘い物しか思い浮かばなくて」
仁はバツが悪いように、頭を掻く。
「嬉しかった。少しでも私が仁さんの中にいたんだって。おかげで、デザートには詳しくなったの」
葵の健気さに、仁は胸が熱くなる。
「明日、休みなの」
「どこかへ行こうか」
「ううん、此処でゆっくりと過ごしたい。自分の働いているホテルで休日を過ごすのも悪くないわ」
「いいのか?」
「仁さんがいるしね」
「そんなことを言ったら、帰したくなくなるだろう?」
仁は葵にキスをした。
「そんなことか。俺はまだしも、葵の情報は全て非公開だ。ちゃんとそこは手を回してある」
「そ、そうなの?」
「ああ」
一瞬安心したが、でも信用は出来ない。
「それに、いつこの部屋に来ているのがバレるか、心配で」
「だから一緒に東京に帰ろうって言っているだろう?」
ソファに座った葵の前に、膝をついて葵の両手を取る。
「仁さんの事を責めちゃうわ」
「いいよ、ずっと責めてくれて」
「逆に私が仕返しをするかも」
「し、仕返し?」
「仁さんがしたように、同じことを」
「それはあり得ないし、葵はそんなことはしない。仮にそうなったとしても、俺は葵を離さない」
否定の言葉が嬉しい。葵は、少し揶揄ったのよと笑う。
部屋を見ると、書類が広がっていて仕事をしていたと分かる。
「無理してこなくていいのに」
「無理じゃないよ」
仁は広げた書類を整理する。
「副社長の仕事は、私には全く分からないけれど、物凄く忙しいのね」
「どうした? 急に」
「結婚していた頃、私が起きているときに帰って来なかったから……だから忙しいんだなって」
葵はふと結婚生活を思い出し、仁に問いかけた。
「いや……それは少し違うな。葵が起きている時間に帰ると、緊張させてしまうし、それに」
「それに?」
「抱きしめたくなる」
その一言は葵にとって嬉しいものだった。そう言われて葵ははにかんだ。
「実を言うと、そりゃ忙しい。仕事は山積みだ。だけど、そう毎日遅くなることはない。会社で潤を付き合わせ、しなくてもいい仕事を処理して……潤が呆れて先に帰っていたよ」
「そうなのね。私もそういう雰囲気にしてしまったのがいけなかったんですね。家に足が向かないようにしてしまった……ごめんなさい」
「葵が悪いわけじゃない。俺がいけないんだから」
「でも、毎日デザートのお土産があったわ」
「何か買ってあげたかったんだが、甘い物しか思い浮かばなくて」
仁はバツが悪いように、頭を掻く。
「嬉しかった。少しでも私が仁さんの中にいたんだって。おかげで、デザートには詳しくなったの」
葵の健気さに、仁は胸が熱くなる。
「明日、休みなの」
「どこかへ行こうか」
「ううん、此処でゆっくりと過ごしたい。自分の働いているホテルで休日を過ごすのも悪くないわ」
「いいのか?」
「仁さんがいるしね」
「そんなことを言ったら、帰したくなくなるだろう?」
仁は葵にキスをした。