僕の彼女とアイスクリームと
 

 いつも決まってこの場所で立ち止まって、深呼吸をして、恐る恐るインターフォンを押す。お父さんが出てきたらどうしよう、お兄さんが出て来ても気まずい。それでも、よそのものの俺に選択する権利はないのだ。

「ユウ君、いらっしゃい。」
「こんばんは。」

 出迎えてくれたのは、彼女の母親。
 彼女と同じ遺伝子を持っているのがよく分かる、よく似ている。目元とか、笑窪とかしゃべり方とか、上げていくときりがない。

「わざわざお見舞い、有難うね。喧嘩してるんだってね、うちの蓮子がごめんなさいね。」
「いえ。おばさん、これうちの母からです、庭になった奴で色は悪いですが。」
「あら、美味しそうなビワ。いつも有難うございますって伝えてね。」

 近所のスーパーの買い物袋に押しつぶされんばかりに詰められたビワを渡す問答を終えて、俺は二階の彼女の部屋へと通される。
 軽くノックをして、応答がないのを確認してから、俺はドアを開けた。

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