君とすれ違ったあの日から

私は小学5年生の時に父を亡くした。

病気でもなく、事故でもなく、
自殺だった。

一人っ子の私と母には衝撃的なものだった。

当時の父と母は喧嘩が多くて、離婚はしなかったが別居することになり、私は母についていった。

それから父は自分で会社を建てると言い、その時勤めていた会社を辞めた。

しかし、結局上手くいかなかったんだろう。

きっと父は頼る人がいなくて、独りで悩んで、自分を追い詰めて追い詰めて、苦しくなってついに自分で命をたったのだろう。

父の苦しみに気づけなかったこと。
突然、その大きな存在が無くなったこと。
他にもたくさんの思いがありすぎて、私はすごく辛かった。

父がいなくなってから母と私は暗い生活を送っていた。

今思い出してもその時代には色などない。

その時は色のない世界で私と母は2人きりだった。

辛くて苦しくて、こんな世界にいたくなくて、誰か助けて。

この闇の世界から誰か私を連れ出して…お願い。

そんな私の願いは誰にも届くわけはなく、私は独りで泣いていた。

それが過去の私。

一方、母は仕事を始めた。
元々、看護師の免許を持ってた母はすぐに仕事を見つけ、朝から晩まで働いた。

帰ってくる度にヘトヘトな母。
そんな母をみて私は決意した。

(辛いのは自分だけではないんだ。私も頑張らないと。お母さんを支えなきゃ。)

そう思ってそれからは前向きに物事を考えるように心掛けた。

そして中学生になって生活は落ち着き、私はバレー部に入部した。

バレー部に入部してから、私は変わったと自分でもわかる。

個性豊かなチームメイトに囲まれ、
たくさん喧嘩したし、嫌なこともあったけど。

何かあればすぐに駆けつけてくれたし、たくさんバカして騒いで、皆がいたから今の私がいるんだと思える。

そんなこんなで卒業までには、元の私に…いや、前よりももっと明るい私になることができた。

この頃に父のことを思い出しても、涙が出る時はあるが、辛くはない。

父を亡くしてから自分が学んだことは多くあった。

これは人生の試練だったのだと。

そしてもしも、自分みたいに辛い思いをしてる人がいたら助けよう。

そう心に決めた。


中3の後半に私は自分に合った東ヶ丘高校に進学を決め、入学した。
< 2 / 3 >

この作品をシェア

pagetop