現実は小説よりきなり
普通の日常
私、登場
授業中の教室。
先生が教科書片手に、黒板に数学の問題を書き込んでいる。
頬杖をついて、シャーペン片手にぼんやりとそれを見つめてる。
お昼を食べてすぐの5時間目の授業はとにかく眠い。
今にも落ちそうになる瞼を必死に押し止める。
木下嵐(キノシタラン)それが私の名前。
あらしと書いてらんなんとも見た目は男の子チック。
両親が産まれてくるのは男だと疑わずに女である私が生まれた結果、この男の子丸出しの名前を付けられる事になったのだ。
男の子の名前しか用意していなかった我が両親。
苦し紛れに読み方を変えて、無理矢理つけたらしい。
聞いてるだけなら、らんなんて可愛い名前だけど。
この嵐のおかげで、小さな頃から嫌な思いをしてきたのは間違いない。
ま、よくぞグレずに17歳まで生きてきたと、自分でも思う。
では、私のスペックをお伝えしよう。
松泉高校二年一組、中肉中背、身長160センチ、体重....秘密。
赤茶の胸元まである長い髪、大きな二重、色白。
ノンフレームの伊達眼鏡は必須うアイテム。
ま、平均的可愛さを持ってると思う。
自分で言うのはおこがましいけれど。
成績は良い方、友達はそこそこいる。
特にクラスの中心人物でもない。
普通に生活を送れてると思う。
特に学生生活で困ってる事はない。
ちなみに、不良でもありません。
家族構成は両親と姉一人。
と、まぁ、私はこんな感じ。
クラスの皆に溶け込んで上手くやれてる方だと思う。
ただ一つ....誰にも知られちゃいけない秘密を持ってたりする。
それは、私が今流行りの携帯小説サイトで連続一位を取り続ける小説家だと言うこと。
中学の頃に、少し心が病んでた時期があってその時に気晴らしに書いた小説が大当たりしたのだ。
これまでに数札の本を出版してる。
もちろんペンネームで。
知られるのが恥ずかしいのもあるけど、普通から逸脱したくないからだ。
普通の日常からはみ出したくない。
はみ出せば、打たれ引っこ抜かれてしまう。
そんな経験を嫌ってほど中学の時に味わった。
だから、私は普通から逸脱したくない。
皆と同じ平均の位置に入れば、苛めにあったり除け者にされたりすることはない。
あんな寂しくて辛い思いはもう沢山だ。
私は普通の学園生活を送っていきたいのだ。
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