現実は小説よりきなり
嫌がらせ
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美樹に嵐を任せたけど、内心やっぱり心配で。
食堂の席についても俺はぼんやりとしていた。
あいつ、顔色悪かったよな?
っうか、あそこまで俺達が接触するのを嫌がるのはどうしてだ?
その辺の女なら、俺が声をかけりゃ顔を赤らめて喜ぶ。
これって自意識過剰じゃなく本当の事だ。
だけど、嵐はやたらと敬遠しやがる。
病院についてった時だって。
こちらから話さなきゃ何にも言わねぇし。
まぁ、あいつと過ごす無言の空気も嫌いじゃねぇけどな?
嵐が醸し出す空気が俺は好きだ。
側に居るだけで癒されるっうの?
でも、嵐はやたらと周りを気にして俺達を避けようとする。
そんなに嫌われてんのかよ?
いや、美樹に対しても似たような態度か...。
美樹は相手を見ずにグイグイ行くタイプだから、嵐が無遠慮に振り回されてるのは否めねぇけど。
ま、少し様子見だな。
あんまり嫌がる事をやって、本気で嫌われちゃ堪らねぇし。
嵐の様子は美樹が戻ってくるのを待つとするか。
俺は目の前に置きっぱなしになってた朝食に手を付けた。
今日は洋食。
ロールパンを手で千切ってバターを付けて口に放り込む。
朝早くに焼き上げられたばかりのロールパンは旨い。
チラチラと見てくる女達に無視して俺は食事を続ける。
「ねぇ、嵐大丈夫かな?」
「うん。顔色悪かったよね?」
そんな声が聞こえてきてそちらへ視線を向ければ、嵐がいつも一緒に居る二人が少し離れた席に座ってた。
「朝御飯も食べてないしね」
と茶髪のお嬢様カールの女が言う。
「ロールパンだけでも学校に持っていってあげようかな?」
ベリーショートの女が言う。
「うん、そうしよう。体調悪いなら食べないと体力持たないし」
「私買ってくるね」
ベリーショートの女が立ち上がってカウンターに向かう。
嵐は良い友達を持ってんだな?
俺は一人でほくそ笑む。
嵐に近付くためにはどうしたら良いんだろうか?
彼女達の様に嵐を心配したり、一緒に笑ったりしたい。
それには今以上にあいつを知る必要が在りそうだな。