現実は小説よりきなり
早くこっちにこい!と目配せした俺に向かって足早に歩いてくる。
美樹の突然の登場に二人の女は焦り出す。
ギャルはギャルでも目の前の女達とはレベルが違うからな。
俺が一人なのを狙って来たんだろうが、もうおしまいだ。
「美樹、おせぇ」
と前髪をかき揚げた。
「ごめんごめん。ジュース御馳走になってたから」
フフフと笑った美樹。
っうか、こいつ、嵐の部屋に入ったのかよ?
羨ましいな。
後でどんなだったか聞き出してやる。
「って言うか、こいつら誰?」
美樹は俺の側までやってくると、とても冷めた視線で女達を睨み付けた。
「いや、あ...その」
「な、なんでも...ないです」
二人の女は蛇に睨まれた蛙の様に青ざめたまま震え出す。
「貴女達...二年よね?何を思って琉希也に近付いてるのか知らないけど。身の程を知りなさいよね」
美樹は腰を両手に当てて女達を上から下まで見てから、キッと睨み付けた。
うちの学校は学年の校章によって色が違う。
現一年は赤、現二年は緑、現三年は青。
目の前の女達は緑の校章を着けてるって事は二年て事だ。
「な...なによ、い、一年の癖に...」
声を震わせながら反撃に出んなよなぁ?
俺は呆れた顔で女を見た。
美樹とはレベルが違うって。
「年なんて関係ないよね?明らかに琉希也嫌がってんじゃん。そんなのも分かんないの?頭可笑しいんじゃない?だいたい貴女みたいなレベルで琉希也に相手してもらおうなんてちゃんちゃらおかしいわよ」
フフフと悪い笑みを浮かべた美樹。
さっき、嵐に話しかけてた時とは大違いだな?
「...っ..」
悔しげに下唇を噛み締めた女は美樹を睨む。
自分はかなりイケてると思ってたんだよな?この女。
「あ、貴女、ちょっと失礼じゃない?大丈夫?桃」
不細工が美樹を睨み付けてから悔しそうにしてる女を励ます。
「うるさい!ブサイク、あんたの出番はない」
ピシッと言い捨てた美樹は不細工を指差した。
ワナワナと口を震わせる不細工。
俺を潤んだ瞳で見てくるもう一人の女。
「二人とも目障り。とっとと消えて」
美樹の怒鳴り声にピクッと肩を揺らした二人は悔しそうに顔を歪めながらも去っていく。
「相変わらずキツいな?」
クククと笑った俺に、
「はぁ?私に処理を丸投げしたくせに偉そうね」
と美樹に睨まれた。