現実は小説よりきなり
「ククク...まぁ、そう怒んなよ。助かった」
と軽い口調で言えば、
「まったく心が籠ってない」
と睨まれた。
「って言うか、嵐はどうだった?」
あんな女の話より嵐の事だ。
「あ、うん。嵐ちゃんはとはさっきエレベーター降りた所で別れた」
「はっ?」
あいつ学校行くのか?
「友達と正面玄関で待ち合わせてるらしいから」
と説明してくれた美樹に、
「あいつ、あの顔色で学校に行くのかよ?」
と不服そうに言う。
「うん。お茶しながら話してる間にだいぶ顔色戻ってたよ」
あっけらかんと言う美樹に、はぁ...と溜め息をついた。
まぁ、嵐が学校に行くのを無理矢理止める事もねぇけど。
あいつ、本当に大丈夫かよ?
「それよりさ。嵐ちゃんにあんまり話しかけない様にしようよ」
真面目な顔してそんな事を言う美樹に目を見開く。
「はぁ?なに言ってんだ」
声が思ったより低くなったのは仕方ねぇだろ。
「いやいや、そんな睨まないでよ。って言うか時と場所を選ぼうってこと。生徒の大勢いる場所ととだと悪目立ちするしね?嵐ちゃんはあんまりそう言うの好まないみたい」
美樹の言葉にああそうか...と思う。
確かに俺達が辺りかまず話し掛けると悪目立ちするのは間違いねぇな。
「.....」
俺は顎に手を当てて眉を寄せた。
「だからさ、普段は挨拶程度に止めようよ。嵐ちゃんに迷惑かけたくないし。ほら、さっきのバカ女みたいなのが変な勘違いして嵐ちゃんに嫉妬の矛先向けないとも限らないし」
美樹の言う事は間違ってない。
「...チッ...分かった」
俺が声をかけた事で嵐に迷惑がかかるのは嫌だしな。
憎々しげに顔を歪める。
女ってのは歪んだ思いを同じ女に向けんだよな。
っうか、どうやってあいつとこれから接したらいいんだよ。
俺とあいつには学校以外接点はねぇってのに。
距離を縮めるどころじゃねぇだろ?
めんどくせぇ...。
肩で息をつく。
「さ、私達も学校行こうよ」
そう言った美樹はやたらとテンションが高くて。
「...お前、嵐と話せなくなっても元気だな?」
立ち上がりながら美樹の顔色を伺った。
ニコニコしすぎじゃね?
「あ...うん。だって嵐ちゃんと友達になって連絡先交換したもん」
と目を輝かせがった。
チッ...こいつ、自分だけ距離縮めてんじゃねぇかよ!