現実は小説よりきなり





「っう事で、お前はこれから俺と一緒に行動な?」

と私の頭を撫でた琉希也君。


はっ?何が?

どういう事ですかな?

私の頭はパニック中。



「琉希也のバカ!俺とじゃなくて、俺らとでしょ!」

私も居るよ、と琉希也君の肩をパシッと叩いた美樹は私に微笑んだ。


いや、だから、何が?


ますます分かんない事に、首を傾げる。


「...えっ..と、ちょっと分かんないかも?」

私の嫌がらせと、彼らと一緒に居る事は関係ないと思うけど。


「分かんなくても、お前に拒否権はねぇ。俺が側でお前に守るって決めたから」

決意の籠った漆黒の瞳が私を捉える。


ドキッとしちゃったのは、秘密。


体の奥からゾクリと沸き起こるこの感情は何なのだろうか?


迷いなく私を迎えに見下ろす琉希也君の瞳が怖いと思った。

私の中の何かを引き出されてしまいそうな気がして...。



「...あ、いや、それは...ちょっと」

困る...私の普通の日常が壊れちゃう。


ま、嫌がらせされてる時点で普通じゃないのだけど、琉希也君達と居たら更に壊れる気がする。



「だから、拒否権はねぇ」

琉希也君は眉間にシワを寄せると掴んでた私の腕をグイッと引き寄せた。

一気に縮まる距離。

琉希也君の胸元にぶつかった側頭部。


「...ちょ、ち、近い...」

慌てて逃れようと彼の胸板を手で押した。

だけど、彼は私の腕を掴んでた方の手で私の肩を抱き締めた。



「そうだよ。琉希也、近い。嵐ちゃんを離しなさいよ」

腰に両手を当てて琉希也を睨み付ける美樹。


「うっせぇ。嵐は俺のだ」

はっ?何?その俺様発言。

ってか、可笑しいでしょ。


「はぁ?はぁ?何を勝手な事を言ってんのよ」

もう抗議するのはやっぱり美樹で。


私は意味の分からない状況にポカンとするばかりだよ。




「うっせぇ」

「煩いじゃないし。嵐ちゃんを離しなさいよ」

「聞こえねぇ」

美樹から顔を背けた琉希也君は不機嫌に眉を寄せてる。

完全に聞こえてるよね?


...って言うか、私を挟んで揉めるのは止めて欲しい。

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