現実は小説よりきなり
「....チッ...分かった」
琉希也君は舌打ちしたけど、私を解放してくれた。
だけど、手は掴まれたままで、私は琉希也君に側に在った机に誘導された。
「...琉希也君、手は離して貰えないのかな?」
「離す必要あるか?」
いや、何?その繋いでて当然って顔は?
前々から思ってたけど、琉希也君てマイペースだよね。
「ちょっとちょっと二人の空気作らないでよねぇ」
割り込んでくれた美樹のおかげで離れた手。
急に無くなった温もりに少しだけ寂しさを感じだ。
「邪魔すんな、美樹」
「ま、良いから良いから。座ってこれからの事をきちんと話そう」
嵐ちゃんはここね、と私の肩を押して椅子に座るように促した後、私の隣に座った美樹。
「...はぁ、分かった」
溜め息をついて、私の座る椅子の前にある机に腰をかけると私の髪を撫でた。
琉希也君は徐に長い足を組む。
彼は顔だけじゃなく、スタイルと抜群だなぁ、なんて思った。
「じゃ、嵐ちゃん。話を進めるね」
美樹は嬉しそうに微笑む。
「ん」
話は良いけど、隣の男を何とかしてくれないだろうか?
琉希也君が私の髪を一房掴んでクルクルと指でもて遊んでるんだよね。
ちょっと...いや、かなり恥ずかしいんだけど。
「嵐ちゃんに送られてきてる手紙をここに出して、持ってるよね?」
笑顔なの強い目力で脅迫してくるのは止めてぇ。
「...えっと...」
どうして、手紙の事を知ってるのかな?
美樹が手紙の存在を知ってることに動揺した私は、無意識にブレザーのポケットに手を当てた。
数日前から送り主不明で来てたメモ書きをここに入れてあったんだ。
「知らんぷりしても、取ってあるだろ?」
琉希也君はそう言うと前屈みになって私に覆い被さった。
「キャッ」
驚いてあげた悲鳴。
「ちょ、琉希也、何してんのよ!」
美樹は怒鳴りながら琉希也君の肩を押して私から引き離そうとしてくれた。
「...これ、だよな?」
カサッと乾いた音と同時に私のブレザーのポケットから数枚の紙を抜き取った琉希也君は、体を起こした。
「あっ...それ」
ヤられた。
私の小さな動きを琉希也君は見逃してなかったらしい。
「あ、それって、琉希也」
美樹が高揚した様に声を上げる。