現実は小説よりきなり






「うぁ~ん、嵐ちゃん、哀れみの視線を向けるのは止めてぇ」

美樹、煩いよ。


「いや、そんなつもりは無かったんだけど」

ちょっと大変そうだな?とは思って見てた。


「良かったら、一緒に勉強する?」

加奈は遠慮がちに聞く。

美樹の悲壮な顔に声をかけずには居られなかったのね。


「えっ?マジで」

めっちゃ食いついてるし。

ちょっと、身を乗り出しすぎないで。


私を挟んでやり取りしてるの思いだして欲しい。



「うん。ね?眞由美も良いよね」

加奈は頷くと眞由美見た。


「ん。良いよぉ。美樹ちゃんて同じ匂いがして他人事とは思えないし」

おっとりした口調で微笑んだ眞由美。

同族が居たことがかなり嬉しそうだ。



「いやぁ~ん、二人とも良い子だぁ」

瞳をウルウルするほど嬉しいらしい。


「嵐も一緒に勉強する?」

と聞いてきたのは加奈。


「あ...うん、良いよ」

この三人なら気兼ねせずに済みそうだし。


「じゃ、決まりね」

ウインクした加奈に、

「場所はどうするの?」

と聞く。

4人で集まれる場所を探さないとね。


「学校の図書室?」

そう言った眞由美に、

「あ~私、無理かも」

と眉を下げたのは美樹。


「図書館苦手?」

美樹が図書室に居る姿は想像できないけどね。


「いや、苦手とかじゃなく手、前に図書室で騒いで司書さんに目をつけられてる」

ニャハハと恥ずかしそうに後頭部に手を当てた美樹。


司書に怒られるって、どれだけ騒いだのだか...。


「じゃ、仕方ないね。だったらどうしようか?狭いの気にならないなら私達の部屋でも良いけどね」

加奈と眞由美の部屋は二人部屋だもんね。


「うちで良いよ?」

無駄に広いし。

見られて困る物もないしね。


「やった!嵐の部屋行きたい」

眞由美、跳び跳ねなくても良いから。


「嵐ちゃんの部屋は広いもんね、良いかも」

美樹は結構来てるもんね。


「皆、異存無さそうなので、嵐の部屋に決定ね」

加奈の言葉に私達は頷いた。


放課後に着替えて集まる約束を交わした頃、学校へとたどり着いたのだった。










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