現実は小説よりきなり
他の手紙もきっと似たり寄ったりの事を書いてるのが分かるから、もう見る気にもならないわ。
さぁて、このゴミどうすんの。
面倒臭いったらありゃしないし。
大きな溜め息をついて考える。
そうこうしてるうちに、チャイムが鳴った。
少しして先生が教室へと入ってくる。
ガヤガヤしてた教室は次第に静まり返っていく。
「おはよう、皆、今日も元気か?」
相変わらず元気そうな先生は朝からテンションが高い。
「起立、礼、着席」
委員長の号令に従って挨拶を済ませる。
「じゃ、出席を取るぞぉ」
そう言うと、先生は名簿片手に名前を呼んでいく。
それをぼんやりと見つめながら、机の中のゴミの片付け方を考える。
自分で片付けるのは癪だし、かと言ってこのままも嫌だし。
心底、邪魔くさい。
「...た...木下は居ないのか?」
の声にハッ!とする。
慌てて意識を戻すと先生がこちらを険しい表情で見ていた。
もちろん、クラスメートの視線も集まってて。
うわぉ!目立ってる。
はぁ...小さく息をついてから、もう一度先生を見た。
「...は、はい。すみません」
戸惑った声を出した私に先生は心配そうな視線を向ける。
「ぼんやりしてどうかしたのか?」
あ、良いチャンス!
先生に言っちゃおう。
まさか、やった犯人もこのタイミングで言うとは思ってないだろうし、度肝抜かれるに違いない。
「あ、あのぉ、机の中にゴミが有って、嫌がらせなのかなあ?って考えてました」
先生に告げ口してみた。
普段の私なら絶対にしないだろうけど。
どんなに頑張っても目立つなら大人しくしてる理由ないし。
それに、先生がゴミの片付けやってくれるかもしれないしね。
「えっ!どう言う事だ?」
先生は慌ててやって来る。
クラスメートは驚きにヒソヒソと囁き合う。
こちらを心配そうに見てる加奈と眞由美と目があった。
二人は口パクで『大丈夫?』って聞いてくれたので、うんと頷いておく。
「木下、少し立ってくれるか?」
「...はい」
私の机まで来た先生にそう言われたので、私は立ち上がって少し横に避ける。
先生は姿勢を低くして机の中を覗くと眉を寄せた。
「酷いな。こんなとこする奴の気が知れないな。前からか?」
怒りを露にした先生の口調は少し固くなっていた。