時のかけら
少しずつ治まってきた胸の動悸と息切れ。
あたしもその場にしゃがみこんで、哲哉さんと同じ目線になる。
「どうしたの?」
中々立ち上がらない哲哉さんの顔色を伺いながら問いかけると、もう一度ため息をついた哲哉さんはようやく口を開いた。
「本当に大丈夫? 体きつくない?」
「うん、ちょっとした運動不足だよ。もう本当に平気だよ?」
その言葉に安堵の表情を浮かべて「よかった……」と胸を撫で下ろす姿を見ると、
何だか……
いけない気分になってきた、
かも?
「ル……リ……?」
「あ、えっ、ごめん!」
あたしは、いつも哲哉さんがしてくれるみたいに、頭をよしよしって撫でていた。
哲哉さんの声で我に返り、慌てて手を引っ込めようとすると、
「きゃっ!!」
その手をきつく掴まれて……
そして、真剣な顔つきで見つめられる。
辺りに響き渡る波の音や風の音。
何よりも大きく聞こえるのは自分の鼓動。
だんだんと近づいてくる哲哉さんの顔に、身動き一つとれずに固まる体。
さっきの胸の動悸なんか比べものにならないぐらい、心臓が壊れてしまいそうなぐらい……
胸が
激しく音を立てる――……。