時のかけら
フゥーと一息、ため息をついた哲哉さんは、両手を離してようやく笑顔を向けてきた。
あたしも緊張の糸が切れたかのように肩の力が抜ける。
「ごめん……少し過剰すぎたね」
そう言ってその場に立ち上がると大きく背伸びをして、再び視線をあたしに移し、
「急にね、不安になったんだ」
ポツリと言葉を漏らした。
真上から降り注ぐ日差しが辺りを明るく照らす。
哲哉さんはそんな太陽みたいに明るく輝いていて、あたしを照らしてくれる人……。
「何度か頭痛があったでしょ……。多分、心のどこかで不安に思っていたんだと思う、もしルリに何かあったらって。
本当に大丈夫なんだよね?」
見つめられて、ズキンッと心が痛む。
だけど……嘘をつかせて。
「うん、本当に大丈夫! だからそんな顔しないで」
いつも明るく笑顔でいて欲しいから。
「分かった、ルリの言葉を信じるから」
ズキズキと痛む胸の内をひた隠し、「うん」と笑顔を向けてあたしも立ち上がった。
「だけど……」
「え? ててててつやさんっ!?」