時のかけら
やっぱり告白と思えてしまう内容に耳を疑う。
何か言わなきゃって思えば思うほど口が動かない。
胸がギューッと苦しくなって、哲哉さんの首に回している手が震えてくる。
何だか嬉しいのか苦しいのか、自分の気持ちがぼやけてきて……。
そんなあたしの様子に気付いた哲哉さんはフッと微笑んで、あたしをその場に降ろした。
「って、こんな紛らわしい言い方じゃ勘違いさせるよね」
「えっ?」
「ほら、着いたよ」
哲哉さんは正面を見据えて、右前方を指差した。
あたしも導かれるように顔を向ける。
ドクンッ……。
目前に広がるその光景に胸が激しく反応して息を呑む。
小高い丘の上――。
辺りを囲む新緑のそよぐ音と、真下に見える白い波がさざめく音が、共鳴し合い心地よい音を耳に届けてくれる。
真上から降り注ぐ太陽の日差しは揺れる波に反射して、真昼に眩い光の星屑を創りだす。
そして……。
宝石のように光輝く海から顔を出す二つの岩。
大小の岩は、それはまるで親子のように、恋人のように寄り添っていた。