時のかけら

あたし……、ここに……。




「うまく言葉では伝えられない不思議な感情なんだけど、ルリに抱く感情は他の誰とも違う気がするんだ」




胸の鼓動はどんどん激しくなっていく。




「あ、だからって“恋愛感情”を抱いてる訳じゃないから安心して?」




そう言って振り向いた哲哉さんは、微笑みながらあたしに視線を向けてきた。


ドクドクと胸の鼓動がうるさい。




「ただ……、特別なんだ。好きか嫌いかと言われれば好きだし、って何でこんなこと言ってるんだろ?」


「フフッ……何それ」


「でしょ? さっきも恥ずかしくなって言うのやめたのに、結局言っちゃうしな〜」




体中に伝わる胸の鼓動が早さを増していく。


息することさえ苦しいぐらいに鳴り止まない。



平静を装うあたしから視線を外した哲哉さんは、少し顔を赤らめたまま、再び前方を向いた。



束の間の静寂――。


二人の間をすり抜ける潮風が何だか懐かしい……。




「まぁ、そんなルリを俺の一番お気に入りの場所に連れてきたくて、ここに来たってわけ」




ッ……イタッ。





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