時のかけら

お昼前には家事も終わり、昼食もとった。


哲哉さんと過ごせると思っていたから、金曜に食材の買い物も済ませていたし……暇。

本当に暇を持て余して仕方がない。


どうして一人だとこんなに時間が長く感じるんだろう。




「……続きしようかな」




ふと思い立ってクローゼットの奥からジグソーパズルを取り出す。


結局、まだ何一つ繋がっていないバラバラのピース。


1000ピースって気の遠くなるような数だけど、一人の時間を潰すには調度いいかもしれない。


床の上にピースを散乱させて、箱の絵をジッと眺める。



透き通るような青空に一筋の白い雲。


空より深い色をした海面から顔を出す数頭のイルカ。


揺れる波は穏やかで、太陽の光に反射して白く輝く水しぶき。



何だかこの絵を見ていると落ち着く。


懐かしいような、見たことあるような……。


何でだろう?




あたしはそんな気持ちを抱えたまま、まずは四隅のピースを探し始めた。






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