時のかけら
「うーっ……できない〜」
あれから1時間。
目の前には周りだけ四角にかたどられたジグソーパズル。
周りは一辺が直線だから、比較的簡単に繋がったんだけど……、後はさっぱり。
どれを見ても青ばかりで、小さなピースからは色の違いがはっきりしなかった。
縦 25 × 横 40
まさかこんなにも、このパズルに頭悩まされるとは思いもしなかった。
「難しすぎる……」
これでこんなに苦戦してるんだから、真っ白なジグソーパズルだったらお手上げかも。
一人ため息をついて、ひとかけらのピースを拾い上げてかざしてみる。
あの日、哲哉さんがしたみたいに……。
「これがあたしの記憶……」
バラバラになった記憶。
少しずつ思い出してはいるけれど、何一つ繋がらない記憶。
「ってことは、これがあたしの頭ってことか……」
床の上で長方形を作っているピース。
中は数個のピースが繋がっているだけ。
繋がっているのが哲哉さんと過ごした記憶で、バラバラのままのピースがなくした記憶。
あたしは本当に、すべてを思い出せるのかな。
記憶が繋がるのかな。
もし記憶が戻ったら、あたしはどうしたいのかな……。