時のかけら
「もう無理!!」
ガバッと立ち上がり、バッグと鍵を手にする。
完全に煮詰まった状態。
パズルはそのまま床に置いていて、家の戸締まりをする。
こういう時は気分転換が必要。
そう思い立ったあたしは、散歩に出かけることにした。
外は快晴。
少し歩くだけで汗が滲んでくるし、周りからはうるさいぐらいに蝉の鳴き声が聞こえてくる。
哲哉さんと二人で歩いていれば、こんなことも気にならないぐらい楽しいのにな。
一人で歩いてもちっとも楽しくないし、イライラする。
それは、今日は一緒に過ごせると思っていたからなのか、それともいつも抱いてしまう気持ちなのか、よく分からないけど……。
やっぱり何だかつまらなくて、あたしは家の周りを一周しただけで家に戻ることにした。
「……あれっ?」