時のかけら
「部屋にあるものは適当に使っていいよ。それと、着替えは明日買いにいくとして……」
哲哉さんは話の途中で不意に部屋の奥に目線を向けて、再び話し始めた。
「あっ、奥のクローゼットは開けないようにしてね!」
哲哉さんの目線の先には、少し扉が開きかけた状態のクローゼット。
だけどそれが特段気になる訳でもなく、あたしは頷いた。
「じゃあ、何か欲しいものある? コンビニに買いにいくけど」
「いえ、もう十分です!!」
これ以上哲哉さんの好意に甘える訳にもいかず、慌てて声を出していた。
そんな会話をしている時だった……。
ガタッ!!
突然聞こえてきた物音に体がビクッとはねる。
……何の……音?
「やっべー。……あ、いや、何でもない」
隣でボソッと呟いた哲哉さん。
何の音か知っている様子の哲哉さんに、声をかけようとしたその瞬間……。
ガタガタガタッガッシャーン!!
「キャッ!!」
突然の大きな音にあたしは思わず目を瞑った。
……何なの?