時のかけら

「やっぱ押し込みすぎたか」




聞こえてきた哲哉さんの独り言。



あっ! そっか。


さっき部屋の前で待たされたのは、この荷物をクローゼットに詰め込んでいたから!?




「クスクスクス……」



「ルリちゃん、笑わないでよ〜」



「だって……クスッ」




部屋から出てきた汗ばんだ哲哉さん。


きっと急いで部屋を片付けていたんだ?


荷物の重さに耐えられなくなって、なだれ落ちてしまうほどの量を必死に。



その姿を想像すると可笑しくて可笑しくて。



いつまでも笑っているあたしにコツンッとゲンコツをしてきた。




「こ〜ら〜。笑いすぎだってば」



「フフッ、ごめんなさい。それにしても哲哉さんって片付け苦手なんですね?」




ッ……イタッ。


あ、また、あの頭痛……。




――――――
――――



『……もう、ほんとに片付け苦手なんだから〜。こんなに散らかしちゃって!』



『いつまでたっても苦手なんだよなぁー。まぁ、ルリが片付けてくれるんだろ?』



『まったく、仕方ないなぁ〜!』



――――――
――――





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