時のかけら
「……リ……ルリ!!」
「ぅ……ん?」
「よかった……」
えっ?
突然の出来事に頭が真っ白になった。
あたしは……
哲哉さんに力強く抱き締められていた。
「て……つや……さん?」
「あっ! ごめん」
我に返った哲哉さんはパッと手を離し、頭をボリボリと掻き始めた。
「大丈夫?」
そして、初めて会った時のように心配そうに見つめてきた。
「へっ?」
何のことを言われているのかさっぱり分からず首を傾げる。
「ルリちゃん、頭押さえて倒れたんだよ。マジでびびった」
……あっ、あたしさっき何か思い出した時に。
「今日はとりあえず寝よ? 話は明日!! 疲れてるだろ」
有無を言わさず、パジャマ代わりにと哲哉さんのシャツとズボンを手渡してきた。
「これに着替えて今日はゆっくり休んで」
そして新品の歯ブラシをテーブルに置いてくれた。