時のかけら


「……リ……ルリ!!」



「ぅ……ん?」



「よかった……」




えっ?


突然の出来事に頭が真っ白になった。


あたしは……
哲哉さんに力強く抱き締められていた。




「て……つや……さん?」



「あっ! ごめん」




我に返った哲哉さんはパッと手を離し、頭をボリボリと掻き始めた。




「大丈夫?」




そして、初めて会った時のように心配そうに見つめてきた。




「へっ?」




何のことを言われているのかさっぱり分からず首を傾げる。




「ルリちゃん、頭押さえて倒れたんだよ。マジでびびった」




……あっ、あたしさっき何か思い出した時に。




「今日はとりあえず寝よ? 話は明日!! 疲れてるだろ」




有無を言わさず、パジャマ代わりにと哲哉さんのシャツとズボンを手渡してきた。




「これに着替えて今日はゆっくり休んで」




そして新品の歯ブラシをテーブルに置いてくれた。




< 17 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop