時のかけら
「まーだー?」
さっきと変わらず明るい声。
あたしは着替え終わった服を綺麗にたたんで部屋の隅っこに置き、部屋のドアを静かに開けた。
「いいですよ」
クーラーの効いていないダイニングは、体にまとわりつくような生暖かい空気。
哲哉さんは冷蔵庫を開けてその前にあぐらをかいて座っていた。
「いいでしょ! クーラーみたいで!」
少年のように喜んでいる姿を見て、自然と笑みが零れる。
もう……。
本当に哲哉さんっておもしろい。
多分、何となくなんだけど。
あたしを元気づけるためにしてくれているんじゃないかなって。
不思議とそう思った。
「さてと、部屋に戻ろうか」
立ち上がりあたしの頭を軽く叩いて部屋へと戻っていった。