時のかけら

一人でいる部屋はとても広く感じる。


一人でいる時間は気が遠くなるほど長く感じる。



言いようのない孤独。


一人でいると悪いことばかり考えてしまう。



さっきまで楽しい時間を過ごしていたのが、まるで嘘のように静かな時が流れる。 



あたしは立ち上がり窓を少し開けて、まばゆいぐらいの太陽の光を浴びた。


どこからともなく聞こえる蝉の鳴き声が夏を感じさせる。


風に吹かれてザワザワと木々が音を奏でる。



どこにでもありそうな夏の光景。



あたしはぼんやりと窓の外を眺めていた。




ゴオォォォー!!



「キャッ!!」




突然思いもよらない強風が吹いてきて、あたしの髪は勢いよく後ろへと流れた。



窓はバタンッと大きな音を立てて開き、その衝撃でまたしてもクローゼットが開いた。




ガラガラガラドッシャーン!!




「あぁぁぁ〜!!」




まるで昨日の再現のように、いろんな荷物がなだれ落ちてきた。



やっばぁ……。



あたしがやらかしたみたいじゃん……。



冷や汗をかきながら、急いで床に散らばった荷物を拾い集めはじめた……その時だった。




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