時のかけら
「ダメだったね……」
「そんなに上手くはいかないもんだよな」
警察に行ってはみたものの、予想通りというかめぼしい情報もなくて、あたしたちは行くあてもなくブラブラと歩いていた。
「だけど事件に巻き込まれてるとかじゃなくてよかったよ」
「そうだね」
喋る気力さえ失わせるような夏の暑い日差しが、体を熱し汗が噴き出てくる。
街の郊外らしいこの辺りは、人もまばらで車もたまに行き交うぐらい。
そんな住宅の立ち並ぶ道の角に、コンビニを見つけ入っていった。
冷房の涼しい風が店内を氷のように冷やしていて、汗もすっかり乾かしてくれた。
アイスケースの前で、重くなっていた口を哲哉さんが開いた。
「アイス何食べたい?」
「……んーじゃあ、スイカバー」
「ルリも?」
「哲哉さんも? 美味しいよね、スイカバー! 夏はこれでしょ!!」
数あるアイスの中で二人同じものを選んで、手に取り目を合わせて笑った。
その他にもジュースやおにぎり、パンやお菓子などを大量にカゴにいれて、レジで会計を済ませた。
あれっ?
何気に言った言葉だったけど、あたしってあのアイス好きだったんだ。