時のかけら
歩くこと数分――。
あたしたちは再び哲哉さんの家に戻ってきた。
刻はすでに13時を過ぎた頃で「お腹もすいちゃったね」なんて話をしながら、コンビニの袋の中からアイスを取り出して食べはじめた。
「美味しいー!」
「最初にアイスから食べるなんて、俺と一緒だな」
口にアイスをくわえたまま哲哉さんは笑う。
そう、哲哉さんとは気が合うというか些細な行動が似ていておもしろい。
「さてと、どうするかなぁ」
スイカの形をしたアイスは、シャリッという音とともに小さくなっていく。
「記憶が戻るまでここにいる? ……なんてな。そういう訳にもいかないだろうし、うーん」
あたしはただ独り言のような哲哉さんの話を、アイスを舐めながら聞いていた。
少ししてから、哲哉さんは突然何かを閃いたかのような顔をして、あたしの顔を見て喋りだした。
「病院行こうか? 調べてもらえば何か手がかりが掴めるかもしれないし。それに、頭痛もあったしね。ってか、最初に病院に連れていくべきだったな……俺抜けてるな」
哲哉さんの言葉に、体が一瞬のうちに固まった。
……病……院?