時のかけら
心配そうな声色と表情を浮かべ、あたしを見つめる彼。
そっか、さっきの頭痛のことね。
心配してくれていたんだ。
「はい、もう大丈夫です」
あたしの言葉を聞くと、さっきと同じように「よかった」と言って安堵の表情を浮かべてホットコーヒーを口にする。
あたしもつられてホットコーヒーを飲みながら、彼の様子を伺っていた。
すると突然、コーヒーカップを置いた彼は真剣な表情になり、
「無理矢理連れてきちゃってごめんな」
と申し訳なさそうに頭を下げてきた。
強引かと思えば、優しくて……。
この人おもしろいな。
「何か危なっかしそうで放っておけなかったんだ。悩みがあるなら聞くけど?」
心配そうに見つめ、優しい言葉を掛けてくれる。
あたしは両手を膝のうえでギュッと握り締め、顔を伏せて軽く呼吸を整えた。
あたしが今一番知りたいこと。
“頭の中にある疑問”
聞いてもいい?
彼なら知ってる?
再び意を決したあたしは顔を上げ、彼に質問を投げ掛けた。
「あたしは誰ですか?」