時のかけら
あたしが哲哉さんと同居する上で決めさせた約束。
『家事全般を受け持つ』
ってこと。
今のあたしは迷惑をかけている分何かしたくて、無理にお願いを言って約束させた。
哲哉さんは「気にしなくていいんだよ?」って言ってくれたんだけど……。
あたしの気がおさまらなくて。
炊事、洗濯、掃除……。
なぜか手慣れていたあたしは、そつなくそれらをこなしていった。
平日の朝は哲哉さんが仕事の為、6時起き。
……そう、あれは月曜の朝の出来事だった。
哲哉さんに借りた目覚まし時計の音で目を覚ましたあたしは、カーテンから漏れる朝日を少し眩しく感じながら、朝食の準備に取り掛かった。
以前哲哉さんが作ってくれたように、ご飯と味噌汁と卵焼き。
……そして出来上がった朝食を前に問題が発生。
あたしが起きた後、7時に目覚まし時計をセットしていたんだけど……。
今、とても激しい音で鳴っている目覚ましを前に、哲哉さんはピクリとも動かない。
カーテンを全開にして、眩しい朝日を浴びさせても微動だにせず。
困り果てたあたしは、体をトントンって叩いてみた。
「んーっ、あと5分ー……」