時のかけら

あたしが哲哉さんと同居する上で決めさせた約束。



『家事全般を受け持つ』



ってこと。


今のあたしは迷惑をかけている分何かしたくて、無理にお願いを言って約束させた。


哲哉さんは「気にしなくていいんだよ?」って言ってくれたんだけど……。


あたしの気がおさまらなくて。


炊事、洗濯、掃除……。


なぜか手慣れていたあたしは、そつなくそれらをこなしていった。 



平日の朝は哲哉さんが仕事の為、6時起き。



……そう、あれは月曜の朝の出来事だった。



哲哉さんに借りた目覚まし時計の音で目を覚ましたあたしは、カーテンから漏れる朝日を少し眩しく感じながら、朝食の準備に取り掛かった。


以前哲哉さんが作ってくれたように、ご飯と味噌汁と卵焼き。



……そして出来上がった朝食を前に問題が発生。



あたしが起きた後、7時に目覚まし時計をセットしていたんだけど……。


今、とても激しい音で鳴っている目覚ましを前に、哲哉さんはピクリとも動かない。



カーテンを全開にして、眩しい朝日を浴びさせても微動だにせず。



困り果てたあたしは、体をトントンって叩いてみた。



「んーっ、あと5分ー……」




< 46 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop