時のかけら

相変わらず玄関先にいたあたしたち。


そうだっ!


あたしは哲哉さんに近付くと、哲哉さんの手から勢い良くトランクスを奪い取った。



目をパチクリさせる哲哉さんを横目に、あたしは急いで部屋へと戻っていった。




「気にしなくていいのに〜!!」




ほんのちょっとした悪戯心。



一呼吸遅れて慌てる姿に、再び笑みが零れる。


こんな、哲哉さんとの何気ない時間が楽しい。


一人でいる時とはうって変わって明るい自分。



自分がこんな子供っぽいことをするなんて想像もしていなかった。



哲哉さんとだから……かな。


不思議とそう思える。




「ルーリー勘弁してよ……」




相変わらず恥ずかしそうに俯き部屋に入ってきた哲哉さんに向かって、




「あたしは気にならないから、気にしないで?」




トランクスを両手で正面に広げ、クスクス笑いながら笑顔を向けた。




「からかわないでくれよ……」



「たまにはからかわれるのもいいでしょ?」



「だーっ! 勘弁〜っ!」




慌てふためく姿がおかしくって、哲哉さんの意外な一面を見れたことが嬉しかった。 




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