時のかけら

「よしっ、終わった〜!」




すべての洗濯物を干し終えたあたしは、手で汗を拭いながら部屋へと戻った。



洗濯かごを洗面所へと戻して部屋に戻る途中、不意に洗面台の鏡に映し出された自分の顔を覗き込んだ。



笑顔……。


相変わらず一人の時間は慣れなくて寂しいし、孤独を感じる。



だけど、哲哉さんのことを思い出すだけでこんなにも気持ちが晴れて笑顔になる。



本当に不思議。


まだ一週間しか生活を共にしていないのに、まるでずっと一緒にいたかのように当たり前に過ごせる。



あたしはちょっと浮かれた気分のまま掃除機をかけ始めた。


すっかり慣れた手つきで手際よく終わらせて、ゆっくりとベッドに腰かける。



ドサッ――。


そのまま上体を倒してベッドに寝そべった。



家事を終わらせたあたしの日課。



こうやって静かな部屋でぼんやりと天井を眺めながら、いろいろな考えを張り巡らせる。



……いつまでこうしていられるんだろうと。




< 59 / 135 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop