時のかけら

当たり前のように慣れてしまった日常。


このままここでずっと過ごしていってもいい。



そう思えるぐらいあたしの中に哲哉さんとの生活が浸透してきていた。



だけど、時々違和感を感じる。


何に感じているのか分からない。


だけど……
確実に何かが違う。



そんなあやふやな違和感。



もしかしたら無くした記憶と今の記憶が入り交じってしまって、頭の中がゴチャゴチャになってるのかな……?




「はぁ〜、訳分かんない」




やっぱり一人で考え事をすると気持ちがどんどん落ちていく。


哲哉さんで満たされていた心に再び黒い影が現れて、すべてを闇で覆いつくそうとしてくる。



孤独と不安。


一人では抱えきれないほどの闇。



『ルリ……』



あたしを呼ぶ声。


頭の中に聞こえてくる声――。


あたし……
思い出さなくちゃダメ?




『ルーリー!!』




毎日あたしを呼ぶ声。


この声を聞いていたいって言ったらダメかな……。





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