時のかけら
あたしは寝返りをうって体を丸め、静かに目を閉じた。
このまま眠りについて何も考えなくていいようになればいいのに。
こうやって一人でいると、思考がどんどん暗いほうへと向かっていく。
記憶がないという現実と、忘れてしまった過去から逃げ出してしまいたくなる。
このままでいいわけなんてないのに。
頭では理解していても、どうしようもなくて。
逃げたいって思うなんてずるいよね。
ッ……イタッ。
あっ……また……。
――――――
――――
『ルリ……走るなって!』
『イヤッ、離してっ!!』
『じゃあ逃げないでくれよ』
『……っ。てっちゃんには分かんないよ、あたしの気持ちなんて!!』
――――――
――――
てっ……ちゃん?
どういう……こと……?
てつ……や……さん?