時のかけら

「ルリが作る料理は本当に美味しいよね」



「ありがと」




しみじみ言われると何だか照れくさい。


これは食材がよかったから……って言おうとしたら、再び哲哉さんが話し始めた。




「ルリの旦那になる人は幸せだと思うよ、毎日こんなに美味しい料理食べることができるんだから」


「そ、そうかな」


「うん、俺だって毎日楽しみで仕方ないし！　料理は男心掴むって本当だよな〜」



「料理が男心を掴む？」




あたしの言葉に頷く哲哉さん。


料理もすべて食べおわり、お箸を置いて手を合わせた。


そして、またあたしを見るとフッと微笑んだ。




「どんなことがあったって家に帰りたいって思うんだよ。俺もすっかり、ルリにグッと心を掴まれちゃってるわけ！」



「そっか、哲哉さんの心掴んでるんだ。何か、嬉しいな」




誰かの為に作る料理は楽しい。


そして、それを褒められると嬉しい。


ましてやそんな言葉までもらえるなんて。



あたしはきっと、そんな哲哉さんの言葉に心を掴まれているんだよ。



ありがとう、哲哉さん。