時のかけら
……いつもそう。
あたしの微妙な変化を敏感に感じとってくれる。
だけど無理に聞き出そうとはせず、そっと手を差し伸べてくれるんだ。
そんな哲哉さんのこと……
あたし…………?
「そうだ、明日行きたいとこ決めた?」
あたしが話しやすいように、明るく振る舞う哲哉さん。
一緒に過ごしてきて思ったのは、本当に人の心配ばかりってこと。
そんな哲哉さんに救われているんだけどね。
日を追うごとに、ここを離れたくないっていう気持ちが増していく。
あたしの中で哲哉さんの存在が大きくなってきている。
だから、ドキドキしたりズキズキしたりするんだ。
「ルリ?」
「行きたいとこ考えてなかった……」
大切な人――……。
「アハハッ、そっか。じゃあ明日は俺に任せてくれる?」
「うん! 楽しみにしてるね!」
いつか離れるその時まで……。
あたしは哲哉さんと笑って過ごしたい。
もう少し……
もう少しだけ……
現実を忘れて一緒にいることを許して。
第2章【同居生活編】end.....