時のかけら
哲哉さんの発言……。
気付くの遅すぎだしって自分に突っ込みを入れながらも、頭はプチパニック状態。
さっきのって、やっぱりそういう意味?
白い肌がだんだんと赤くなり、熱を帯びてくる。
車外にいる哲哉さんの後ろ姿を見て、胸がドクドクと音を立てていく。
「もう、静まってよ……」
胸を押さえながら何度も深呼吸をする。
頭の中をグルングルンとあの言葉が飛び回る。
哲哉さんが、あたしを……?
ううん、そんなことあるわけない。
まだ会って間もないし、あたし彼氏いるって言ってるし。
それに哲哉さんには迷惑かけっぱなしで、あたしは何ひとつ返せていない気がする。
そんなお荷物みたいなあたしを、哲哉さんが好きになるはずがないんだ。
頭を左右にブンブンと振り、頭の中にある疑問を打ち消していく。
両手で顔を思いっきり叩いて気持ちを落ち着け、胸の鼓動が落ち着くのを待って、ゆっくりと車から降りていった。