時のかけら
ドクン……ドクン……
ドクン……ドクン……ドクン……
規則正しい胸の鼓動に安堵を覚える。
生きているんだって実感する。
何なの? この安心感。
ッ……イタッ。
あ、やばっ……。
そう思った時にはもう、意識が少しずつ遠退いていっていた。
――――――
――――
『もう駄目かも……』
胸を両手で押さえる姿が見える。
上半身だけしか見えないけど……あれは、あたし?
『ずっと一緒にいたい、独りになりたくないよ』
カツーン、カツーン――。
遥か彼方から足音が聞こえてくる。
近づく黒い影。
あっ、辺りの重苦しい雰囲気が一気に和らいだ。
『もし……時は……あ……忘……で……』
――――――
――――
コンコンッ。
「……っん」