蝶子の夢【完】
「今、名前呼んだ?」

何言ってんの?とでも言う風な顔をしながら、藍佳は首を横に降る。

何今の…

頭の中で、誰かが私を呼ぶ声が聞こえる。

誰の声?

なんか、聞いたことあるんだけど…

「蝶子、どーしたの?」

藍佳が心配そうな顔で覗き込んでくる。

なんだろ……何かを……誰か?を忘れてる気がしなくもなくもないのよね…

「あー……なーんにもない!さ、行こ!」

どーでもいっか。

私はカバンを持ち直して歩き始めた。
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