蝶子の夢【完】
結局、帰りのHRになっても藍佳はまだ今朝の夢の話を根に持っていた。

「あたし、今日日直だからさ!帰ってていいよって言おうと思ったけど、罰として待っといてね!」

「待つよ。藍佳と一緒に帰りたいし。」

絶対だからね!と釘をさされて、藍佳は小学生じゃないんだからー!と叫びながら職員室へ走っていった。

藍佳ほんとーにかわいいなぁ。
私にもあのかわいさの欠片の一つでも持ち合わせてたらな。

「待ってる間何しよ…」

振り返ると教室に夕日が差し込んでいる。

「きれい……」

思わず声に出てしまうくらい綺麗。

こういうの見たかったんだよね…と、ふっと思う。

あれ。見たかったって…いつでも見れるじゃない。

今朝から私、おかしい。

いつも通りの事が特別な夢みたいなことに思えてしまう。

変なの……。
< 25 / 80 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop