蝶子の夢【完】
「本当に……思い出さない方が幸せなのかな……」

わからない。

けど、思い出したいと思う自分がいる。
それが…何なのかはまだわからないけど。


気づけば、窓の外はもう夕焼けで赤く染まっていた。


藍佳に、先に帰っててもらってよかったかな………。

心配してたけど、一緒に帰れる気分じゃない。

絶対に!早めに帰って、連絡してね!絶対だよぉ〜!

何度も何度も振り向きながら、いつもみたいに大きく手を振って藍佳が帰っていったことを思いだす。

「そろそろ帰らないと…」
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