蝶子の夢【完】
朝は気づかなかったけど、カバンが異常に軽い。

あ、私、用意もせずに学校来たんだ。
バカだなぁ。


ちょっと可笑しくて笑ってしまう。


「何で、笑ってんの?」


ビクッ

え、夢野くん。

「い、いや別に。…居たんだね。」

居たよ?と短く返事をする夢野くん。

居心地悪い。何話せばいいか分かんないし、昨日の事もあるし。

ほとんど入ってない軽いはずのカバンが一気に重く感じる。ただ一言、じゃあねと言って帰ればいいもののタイミングを逃してしまった。

失敗したなぁ。居たんだね、じゃなくて、じゃあねの方が短いのに。
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