蝶子の夢【完】
いくら待っても夢野くんの返事がこない。

そうだね。という返事を期待していたのに、夢野くんから返ってきたのは

「君は……つくづく"ハル"が好きだね。」




「え。あ、好き……なのかな。」


でも………


「でも、春は来てほしくないんでしょ?」

え……。


つっかえてる何かがゆっくりと動き出す。


「あんだけ言ってあげたのに。思い出さない方がいいって。野田さんは変わってるね。大抵の人は現実から夢へと逃げるんだ。」

な、なに。
夢へと逃げる?

私は突然の夢野くんの変化についていけず、ただ呆然とする。


「例えそれが自分の意思でなく夢へと送り出されたとしてもね。」


夢へ送り出す?


なに………


気持ち悪い。


なんか…ぐるぐるする…。


「や、やめて!もう何も言わないで!」
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