蝶子の夢【完】
「私、死んだんだ…。」

本当の私は、普通の女子高生でも、健康でもない。

学校なんか一度も通ったことなくて、友達なんか1人もいなくて…

20歳までしか生きられない。

それが本当の私。

「だから……春が怖かったんだよね……」

独り言のように呟いてみる。
夢野くんは顔を背けたまま。

「私ね……。春にきてほしくなかったの。けどね、春が好きだったの。だって、

私と春子の誕生日なんだもん。

春子はね、私の憧れだったのよ?

だって、双子なのに……春子は普通に高校生活を送れる。

私はずっとベッドの上で死を待つ生活。

羨ましかった。けど……

病気なのが私でよかった。

だって……大好きなんだもの。大切だもの。

私のたった一人の妹だから…」
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