蝶子の夢【完】
私は弱い。
強くなんかない。

わがままだと思う。

けど、春子は強い。

人に忘れられるって、しかも、その人のために忘れられるって辛い事のはずなのに…

ためらわず、強い意志で、それでも構わないとはっきり言った。

私も、それだけ強かったらよかったのに。

そしたら、春子に心配かけることも、春子を恨んだりすることも、悲しませることもなかった。

夢野くんと私の間に沈黙が流れる。
深い深い沈黙。
けど、どこか心地よい沈黙だ。
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