蝶子の夢【完】
夢野くんが何も言わず、ただ頭を撫でてくれたからか、私も段々と落ち着いてきた。


「あのさ…夢野くん。お願いがあるんだけど。」

夢野くんは私の頭から手を離して何?とでも言うような顔をした。

「春子にね。………

お土産話待ってるねって言っといて。
いっぱい聞かせてね

何十年でも、何百年でも待つから。たっくさんお土産話作ってほしいって。

お願いしていいかな?」

精一杯生きて欲しい。
私の分もなんて、絶対言わない。

春子の分を精一杯生きて。

それで、たくさん思い出話聞かせて。


夢野くんはこくんと頷いて、笑った。
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