蝶子の夢【完】
「わかった。言っておくよ。」

ありがと、と短くお礼を言う。


外を見ると、もうすっかり暗い。
そろそろいかないと。

「そろそろ………いくね。」


それは、春子のところでもここでもない、私のいくべき場所。

夢野くんはそっかと言うだけ。

「ありがとうね。…本当に。夢を見させてくれて、ありがとう。」

感謝したってしきれない。
春子にも、夢野くんにも。


立ち上がって目をすっと閉じる。
身体がふわふわと軽くなって飛んでいけそうな気分。
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