蝶子の夢【完】
蝶子の夢
不思議な……懐かしい…夢を見た。
外は木枯らしが吹いていて落ち葉がくるくると回っている。
なのに……春の夢を見た。あの子の夢を見た。
なぜかしら……。
「あ、お母さん。起きてたの。」
「ばぁちゃん!」
病室のドアが開き、咲良と小さな手を引かれながら果菜が入ってくる。
「来てくれたの……。果菜は病院なんてつまらないでしょうに。よく来たねぇ。」
果菜が来たいって言ったのよと咲良が笑いながら言う。
果菜はベッドの脇の椅子をよいしょよいしょと言いながら持ってきて、その椅子に座った。