【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
「姐さんたちも他の島の観光なんて早々したことがないんでごぜぇやすよ」
「あぁ」
それはすごく納得した。
だけどゾロゾロと極道が連れ立って観光するのだろうか。
何台もの黒塗りの車が止まればそれだけで目をひく。
「ま…まさか…」
「バスですよバス。」
「その運転手さんとガイドさん気の毒」
由香里さんの言葉に私は思いっきり吹き出した。
「何も極道だと言って申込なんかしちゃいやせんよ。」
笑う植木さんに安心したというか私と由香里さんの発想が同じことも可笑しい。
「どこもお茶処結衣で申込をしたそうでごぜぇやすよ」
「えーーーーーー」
隼はクスクスと笑っていて全国区になるななんて言うけれど
私としては恥ずかしい。
次の質問をしようとする前に
「結衣さん、誰もスーツでなんか観光したりしやしませんって。」
「あー良かった」
「挨拶の時はスーツなのは気持ちを組んでやっておくんなせぇ」
「それはもちろん」
「ジャラジャラと金のネックレスとかつけてる?」
「あぁそうね…夏じゃないから墨が見えないのはいいけど胸元開けて金の太いネックレスとか指輪とかでわかるわよね」
響さんと隼は横を向いて笑い
「俺はそんな服装するか?」
「結衣のまわりにそんなやついるか?」
由香里さんと顔を見合わせてにやついたけれど
「結衣といる時間が長いからかしら発想が何だか結衣に似てきたわ」
「いやママ?極道はそういうもんって決まりみたいなもんだから」
極道の人の顔つきまでは早々変えられるものではないけれど
お茶処結衣って貼られたバスに極道の存在感を見せて乗る方が恥ずかしいかもしれない。