【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
仙台へ着き新幹線を降りると
遠山さんが迎えてくれた。
「お久しぶりです」
「ようこそ仙台へ」
「お世話になります」
挨拶をして車へ乗ると
「組長たちは今日の準備がおありであっしだけがお迎えですみません」
「とんでもない。逆にご面倒をおかけして申し訳なく思っております」
「駅に厳ちゃんや姐さんたちまで見えたら警護の人数もいるから困る」
私が吹き出せば由香里さんも吹き出す。
「もうそんな事はありやせんよ」
その言葉は嬉しくなる。
「まったく心配がないとは言い切れやせん。それは傘下の組だけではないという事ですがね」
「はい」
「ただ、前のようには行かない怖さをこの道を行くものなら知っているんでごぜぇやす」
その気持ちが薄らぐことがないよう祈るばかりだ。
「お宅に泊まっていただけない事を組長も姐さんもとても残念がっていましたよ」
「お気持ちは本当に嬉しいんですけど…後で厳ちゃんと姐さんにもお話しますけどね…」
「あっしは聞かなくても結衣さんのお顔を見たらわかりやした」
「さすが遠山さん」
「ホテル内からは出ないで下せぇよ」
そう言われたから当たっていると由香里さんと顔を見合わせた。
「絶対に秘密ですよ」
「へい」
笑っているからその秘密が守られるのかどうかは微妙だ。
だけどホテル内なのでそのぐらい大目に見てくれると思う。