【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
「ねぇ結衣」
「はい」
「考えてることがあるんだけど」
「はい」
「挨拶回りに行った方がいいのかなぁって思うのは変だと思う?」
それだけで由香里さんが何について言っているのか私は理解できた。
北から南へと絆が生まれた組へそして姐さんたちへ
挨拶にまわりたいということだ。
「私も賛成です」
「響と隼をどうやって説得するかなんだよね」
北から回っていたら日にちかかりますよね…。
それでも私と由香里さんの口元が緩むのは、外へと出れるからだ。
日本縦断だよ?いろんなもの食べられるよ。
完全に旅行気分なんだけれど
確かに説得するのは至難の業だ。
一緒に行くというだろう。
一緒に来るのが問題なわけではない。
だけど、これは裏方の仕事のような気もするし
由香里さんと家出したときに2人で楽しんだ夜を思い出すから
少しだけ2人きりにウキウキしてしまう。