【完】甘い香りに誘われて4 極道の若頭×ちっちゃな姐さん
正直驚くことも多い。
いや予想以上で、おもわず眉をしかめてしまうこともある。
それでも遊び半分でしているわけではない事は理解できる。
それが極道だ。
任侠の世界だからと言って正義とするものが世間とは違った解釈もある。
それを飲みこみ昇華させるには少々時間が必要なこともある。
だけど、どうにか昇華させることが出来るのは、私が目にしてきた人たちを
恥ずかしいとも非難しようとも思うことがない。
誇りにさえ思うからだ。
その世界に生きていればそれが正義。
片側だけしか知らなければ違うものに対しては嫌悪や反感がある。
だけど私は両側を知っている。
堅気という一般的な世界を生きてきて
その反対側の黒の世界へと嫁いだ。
そしてこれから先はずっとその黒の世界で生きて行く。
黒があるから白が綺麗に見え
白があるから黒の世界もまた生きていくことが出来る。
だけど双方ともに生きているのは同じ人間だ。
男と女が別の生き物だから理解できない部分が存在するように
極道と堅気も別の世界だから理解できない部分が存在する。
私の中ではそう位置づけた。
堅気が正義で極道が悪だということは決してない。
いつも堅気が正しく極道が間違っている事も決してない。
人の弱さや怖さを知っているのは逆に極道を生きる人間たちなのかもしれない。